【横浜FC vs 愛媛】横浜FC、再びJ1へ——。キャプテンマークを腕に巻く守護神、南 雄太の声は届く

2019年11月23日(土)


明治安田J2リーグ最終節、2位で迎える横浜FCは勝てばJ1への自動昇格が決まる。3位の大宮とは勝点2差、得失点差でも2上回っており、引き分けでも大宮が大勝しない限りは昇格の可能性は高いが、当然ながら「勝って決めることしか考えていない」と南雄太(写真)は言う。昨季は最終節に勝利したものの得失点差で3位に終わり、プレーオフ2回戦では引き分けOKのところをアディショナルタイムにCKから被弾して涙をのんだ。そのニッパツ三ツ沢球技場で、「サポーターの皆さんの前で勝って決められたら最高ですね」と、キャプテンマークを腕に巻く守護神は、そのよく通る声で決意を語った。

実際、南の声はよく通る。コーチングはGKにとって重要な仕事だ。番記者のひいき目かもしれないが、南のコーチングは日本でトップレベルと言ってもいいのではないか。そのタイミングや内容の的確さ、そして何より興奮状態にある味方の耳に届く声量も伴わねばならない。さらには声の質に、緊張感と迫力がある。大相撲で幕下の取組を裁く若い行司と幕内を裁くベテランの行司とでは明らかに喉の鍛え方が違うように、今年で40歳を迎え、J通算600試合出場を達成した南の喉もまた、若いころからどれだけ後ろから大声で味方を動かしてきたか、その膨大な積み重ねがあの声を生んでいるのだろう。

柏での新人時代から、当時まだ現役だった下平 隆宏監督が「本当に生意気だった(笑)」と振り返ったように、歳上に対しても遠慮しない度胸はもともとあったが、コーチングに関しては「あまり意識していなかった」という。その南を鍛えたのが、当時柏に在籍していた韓国代表の洪明甫(ホン ミョンボ)だったという。代表ではキャプテンも務め、ワールドカップに4大会連続出場し、引退後は代表監督も務めた韓国サッカー界の英雄だ。「ミョンボさんから『コーチングが少ない』、『もっと声を出せ!』とよく怒られた」ことでコーチングを意識するようになり、年齢を重ねるごとに「声で守れる部分がたくさんあるし、それが自分を助けることにもなる」と思うようになった。

「今は人よりコーチングは多いかもしれない」と南は言い、彼が2014年に移籍してきてからの師である田北雄気GKコーチも「コーチングはあいつの武器だし、それもGKにとっての技術」と評価している。「それは俺たちコーチが教えられるものじゃなくて、雄太が常日頃からサッカーを考えながらやってるから言葉が出てくる、それだけじゃないですか」と、相変わらずぶっきらぼうな口調ながら師は弟子を褒めた。下平監督が就任した当初は竹重安希彦と正守護神の座を争ったが、結果的に指揮官が南を選んだのも、「彼の経験、考える能力。そしてキャプテンシー」によって、後ろから味方を動かす能力が買われた部分も大きい。

今季の横浜FCのキャプテンは、選手の投票によって選ばれた。年齢とともに、経験に裏打ちされた南のコーチングに対する信頼がその結果に表れたと言っていいだろう。キャプテンとして、その声の重要性はあらゆる場面でさらに増した。そして南はJ1昇格へあと一歩のところ、昨季より近い位置までチームを引っ張ってきた。残るはあと一つ。

ただ心配なのは、満員の三ツ沢の歓声にかき消されて、その声が味方に届かないことがあるかもしれない。そう尋ねたところ、ベテラン守護神は「ハッ」と笑って言うのである。「三ツ沢なら余裕ですよ」と。自らの声量、鍛えた喉への自信。さらには超満員の日立台はもちろんアウェイ埼スタなど数々の修羅場をくぐってきたプライドがある。だから横浜FCサポーターは、あらん限りの声量で彼の背中からチームを後押ししていい。南雄太の声はそれでも届く。再び行こう、J1へ——。

文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J2リーグ 第42節
11月24日(日)14:00KO ニッパツ
横浜FC vs 愛媛FC
ニッパツ三ツ沢球技場(横浜FC)
みんなの総合評価 (4.3)
臨場感 (4.8)
アクセス (3.7)
イベント充実 (3.4)
グルメ (3.2)
アウェイお楽しみ (3.0)

みんなの口コミで作る「スタジアムナビ」
全スタジアムの新着投稿フォト

編集部オリジナル特集

移籍情報