【名古屋 vs 大分】新体制でも、逆サイドになっても、キーマンの一人に違いなし。吉田豊の“居場所”にぜひ注目を。

2019年10月4日(金)


フィッカデンティ監督の就任初戦は敵地で勝点1獲得というまずまずの結果だった。昨季と同様に残留争いへとその身を投じることになり、指揮官交代に活路を見出したチーム状態を鑑みても、決して下を向く必要のない結果である。広島は難敵であり、先制されての同点劇にも見所はあった。ボール保持を第一義とする自由奔放な攻撃サッカーから攻守一体のスタイルを目指してきたチームは、規律と連係を基調とするソリッドな集団へと様変わりしたが、それは決して守備的な堅いサッカーになったわけではない。

イタリアでサッカーのすべてを見てきたと胸を張る新指揮官は、「サッカーとは“私はどういうサッカーをやる”ということではない。今は時間がないので、このチームならばこの方向性というものを見つけていけば、彼らのクオリティが存分に発揮できるかなということをやっている」と語る。選手を生かす戦術的志向と、布陣やシステムの整備を推し進めることで、名古屋はまず今季のJ1残留を勝ち取ろうとしているわけだ。 

偶然か必然か、名古屋には新監督の仕事の負担を軽減してくれる人材が豊富に揃っている。FC東京で指導を受けた経験のある太田宏介や丸山祐市、米本拓司らがその筆頭だが、中にはイタリアでのプレー経験を持ち、イタリア語とイタリアサッカーを解するジョアン シミッチという変わり種もいる。そしてもう一人、歳月的には最も近い時期にフィッカデンティ監督の薫陶を受けていた選手が吉田豊だ。前体制では不動の左サイドバックだった彼はいま、鳥栖時代にも起用されていた右サイドバックの位置で監督の良き理解者として存在感を高めている。練習中、チームメイトたちに戦術的な説明をしている姿を見る機会は、吉田が一番多いと思う。

猪突猛進という言葉がぴったりなプレースタイルで、実際にイノシシが大好きな吉田だが、技術の高さは現チームにおいてもトップクラスのテクニシャンでもあり、かつ戦術的にも賢い選手である。流動性が高く、個人能力や個人戦術を試されることが多かった風間八宏前監督のサッカーにもすぐに馴染み、瞬く間にキーマンの一人となっていた。翻って現体制では経験者としてのアドバンテージはもちろんあるが、シーズンの半分以上を過ごしてきた左から逆サイドへの配置転換にも問題なく適応し、チームが求める堅実な守備のオーガナイズに一役買っていることには彼の明晰さを感じずにはいられない。クレバーで力強く、活動的で職人的。残る7試合のサバイバルマッチでも、名古屋の背番号23にチームが頼むところが決して少なくない。

吉田は新チームの初実戦であった広島との戦いを「バーに当たったシュートなどで2回、あとのピンチは失点シーンぐらいで、ほぼ相手はノーチャンスに抑えられた」と合格点を与える。新体制になってかなりの大きな割合として組み込まれるようになったフィジカルトレーニングの効果にも触れ、「メンタル的にもキツいタイミングというのは試合の中である。アウェイで勝点1を獲れたのは、あの練習をやったからこその部分だってある」と、とことん前を向く。プレースタイルとしては上下動が生命線、しかし心は常に前進を続ける男は始まったばかりの“マッシモ名古屋”の進化系をすでに見据えている。

「次はやっぱり良い守備から良い攻撃につなげるために、もっと前の選手を助けられるようにというのは僕個人としても、チーム全体としても課題にしている部分です。得点を取るという部分を上乗せして突き詰めたい。そうすることで勝つチーム、強いチームというものが生まれると思うので。もっと厚みのある攻撃を、僕も含めて11人で攻めるんだと追求していきたいです。今週も、そして来週も」
 
フィッカデンティ監督の表現する“攻守一体の攻撃サッカー”は今後どのように表現されていくことになるのか。それ以上に名古屋は必要な勝点を確実に上積みしていくことができるのか。そのどちらにも強い影響力を持ちそうな吉田豊のパフォーマンスには、期待感ばかりが先立ってしまう。彼がどこにいて、どんな仕事をしているか。それに注目してみるのも、大分戦の楽しみ方の一つである。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第28節
10月5日(土)14:00KO パロ瑞穂
名古屋グランパス vs 大分トリニータ
パロマ瑞穂スタジアム(名古屋グランパス)
みんなの総合評価 (3.7)
臨場感 (3.7)
アクセス (4.6)
イベント充実 (3.8)
グルメ (3.8)
アウェイお楽しみ (3.4)

みんなの口コミで作る「スタジアムナビ」
全スタジアムの新着投稿フォト

編集部オリジナル特集

移籍情報