【名古屋 vs 千葉】 ウォーミングアップコラム(千葉):笑顔でJ1昇格を喜ぶ日を勝ち取るため、佐藤勇人は勝利を信じて戦う

2017年11月25日(土)


千葉のJ1昇格プレーオフというと、筆者の脳裏に焼き付いて離れないのは、引き分け以上で千葉がJ1昇格となるにもかかわらず、2012年の決勝で大分に0-1で敗れ、ピッチに座り込んだまま切なく悲しい表情で涙を流していた佐藤勇人(写真)の姿だ。その翌日、佐藤勇の双子の弟の佐藤寿人は広島でJ1リーグ優勝を達成し、兄弟の明暗がクッキリと分かれたことに運命の皮肉を感じたものだ。

千葉のアカデミー出身の佐藤勇は2008年からの2シーズンは京都に在籍したが、千葉がJ2で戦うことになった2010年に「ジェフをJ1に昇格させたい」と戻ってきた。だが、それから7シーズン、千葉はJ1自動昇格を果たせず、2012年から導入されたJ1昇格プレーオフにしても、千葉が5位だった2012年は準決勝で4位の横浜FCに4-0と快勝したものの、決勝は6位の大分に0-1の敗戦。前年と同じく5位だった千葉が4位の徳島と対戦した2013年のJ1昇格プレーオフ準決勝は1-1の引き分けで決勝に進出できず。3位となった2014年は5位の北九州がJ1昇格ライセンスを持たなかったため、準決勝で4位の磐田に勝った6位の山形と決勝で対戦したが、またもや0-1の敗戦でJ1昇格は叶わなかった。

そして、千葉は毎シーズンJ1自動昇格を目指しながらも2015年は9位、2016年は11位と順位を落とし、今季も一時は15位まで順位を落とした。だが、8位で迎えた最終節で2-1の逆転勝利を収め、他のチームの結果によって6位に浮上。ギリギリでJ1昇格プレーオフ進出を決めた。対戦相手は奇しくも佐藤寿が今季から在籍する名古屋だ。

「うちの両親とかからは『複雑だ』っていう連絡はもらいましたけど、ただ、寿人もそうだと思いますけど、自分たちは『家族』というのを捨てて、やっぱりそれぞれのクラブの一員として、結果を出す立場としてピッチに立たなくちゃいけない。寿人は自分がいるジェフをずっと応援してくれて、前回のJ1昇格プレーオフで悔しい思いをした時もすぐに連絡をくれたり、いろいろありました。ただ、あいつ自身も強い覚悟を持って名古屋に行っていますし、この試合にかける思いというのも前回対戦(第41節で千葉が3-0の勝利)でうちにやられているぶん、相当強くなっていると思います。試合後に一緒に食事をした時に悔しい思いをけっこう言ってきていたので。なので、また前回とは違うような試合になるかなと思います」

今季、千葉の対名古屋戦の戦績は2勝(第3節は2-0で千葉の勝利)。千葉は奇跡的なJ1昇格プレーオフ進出となったうえに、さらに対戦相手は今季相性がいい名古屋ではあるが、千葉の選手やコーチングスタッフは浮かれることもなければ、気の緩みもない。
「最終節の横浜FC戦で後半のアディショナルタイムに逆転ゴールが決まった時も、やっぱり自分はその先があると思っていたから、もちろん嬉しいけど、自分の中ではやっぱりすぐに切り替えていました。まだ何も得ていないし、成し遂げていない。そして、J1昇格プレーオフというのは本当に厳しい戦いなので。名古屋は選手一人ひとりの質が高いし、前回対戦でも(負傷明けでスタメン出場した)ガブリエル シャビエル選手は『あんなもんじゃない』と思ってプレーしていました。(前回対戦では後半から出場した)シモビッチ選手がスタメンで入ることによって、前からプレスをかけてボールを取りに行っても前線にボールを入れられる可能性があるので、名古屋の変化にピッチの中で早く対応して自分たちのペースに持って行きたいですね」

千葉にとってはクラブとして4回目のJ1昇格プレーオフだが、昨季に多くの選手が入れ替わったことでJ1昇格プレーオフを経験したことがない選手も多い。
「たぶんスタジアムに入る時にちょっと異様な雰囲気を感じると思うので、キックオフ前のロッカールームでは経験したことがなくてそう感じる選手がいたら、少し声をかけたりしたいなと思っています。ただ、今の自分たちはチームとしてすごくまとまっていて、やれることを100パーセントやれる集団になってきているので、変な心配はないですね。あとは、横浜FCに勝ってJ1昇格プレーオフ進出が決まった時、以前ジェフにいて一緒に戦った、本当にたくさんのメンバーからもいろんな連絡をもらって『J1昇格プレーオフ頑張ってください』と言われたので、一緒に昇格できなかった彼らのぶんまで今回、ここで勝負したいというその思いはかなり強いです。今年のメンバーはもちろんそうですし、今まで関わってくれた全ての人たちのためにもまずは名古屋に勝って、次につなげたいですね。勝てると自分は信じていますし、みんなも信じていると思います」

過去に千葉にかかわった人々が味わった悔しさや悲しみをよりよい形で払拭するためにも、佐藤勇は千葉の勝利を信じて戦う。この準決勝の先にある決勝で勝ち、J1昇格を達成して喜び、応援してくれる人々に笑顔を見せられるように、一戦必勝でまず名古屋に挑む。


文:赤沼圭子(千葉担当)


J1昇格プレーオフ 準決勝
11月26日(日)16:00KO パロ瑞穂
名古屋グランパス vs ジェフユナイテッド千葉
パロマ瑞穂スタジアム(名古屋グランパス)
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